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多様性は大事だけど、なんでも認めるってのは違うでしょ

多様性の尊重には、明確な限界がある。その限界を示すのが「寛容のパラドックス」だ。哲学者カール・ポパーが提示した論点で、無制限の寛容はやがて寛容そのものを滅ぼす、というものになる。あらゆる価値観を等しく認めれば、他者を排除する不寛容な価値観まで受け入れることになり、結果として多様な社会が不寛容な勢力に乗っ取られる。 つまり多様性を守るためにこそ、多様性を破壊する主張は許容できない。他者の存在や権利を否定する思想を「これも一つの多様性だ」と迎え入れれば、守ろうとしたもの自体が崩れる。線引きの基準は、その価値観が他者の平等な尊厳を認めるかどうかに置かれる。 ここを曖昧にすると、二つの誤りが起きる。一つは、単なる好みや文化の違いまで不寛容と決めつけて排除する行きすぎ。もう一つは、明白な人権侵害まで多様性の名で擁護する甘さだ。どちらも基準を持たないことから生じる。 尊重すべきは、他者の尊厳と両立する限りでの多様性だ。無限定の「なんでもあり」は、多様性の徹底ではなく、その自己崩壊への道になる。